はあああ、と重いため息をこぼして、片手で口元を覆う。


やっ、ばいよなー

いくら、鈍感森口でも。

あんなことしてしまっちゃー…………さすがになんか気づくだろ?

どう思ったかな?

ばーさんの言うとおり、俺が誰彼構わず手を出すスケベ野郎だと思っただろうか?

それとも、俺の気持ちに勘づいた?

勘づいた上で俺を庇ってくれたんなら、ちょっとは見込みがあるってことか?

「あー!もー!」

赤らむ顔をふせ、ガシガシ頭をかきむしる。

何なんだ俺?

行動も思考も支離滅裂じゃねーか!

気づいて欲しくないのに、気づいて欲しくて。

期待だけ膨らませて。

俺ってこんなにどーしようもない男だっただろうか?

なんか自分のウジウジ加減が、超絶キモい。

「くそー!」

それもこれも全部あのダサ眼鏡のせいだ!

イライラしながら、しばらく悶々と立ち尽くしていた俺は、やたらと高い門を睨み、踵を返して、家へと歩き出した。