「か、片桐くん!? 
どどどーしたんですか!?
ぶつかり所悪かったですか?
もしかして鳩尾はいっちゃいましたか!?」

バタバタ暴れる森口の両肩を掴み、身体を離す。

至近距離からじっと彼女を見つめた。

ボサボサになった髪。

ちょっとズレた眼鏡。

どー見たって、可愛いとは言い難い。

100点満点で言うと46点だ。

……―なのに。

なんでだよ。

何で、キラキラして見えるんだ。

くそっ

乱視かよ、俺!?


「ひっ!
か、片桐くん?」

ゆっくり顔を近づける。

戸惑ったように胸を押し返す、森口の手を握りしめ強引に引き寄せた。

「ち、ちょっと待ってください!
え、あの、もしかして頭!
頭打ちました!?」

騒ぐ森口に

「うるせーよ、黙れ」

掠れた声で囁くように言って顔を傾ける。

「かかかかたかかっ」

妙な声をあげながら、反らそうとする森口の後頭部をしっかりと片手で固定した。

すまん。森口。

無駄な抵抗せず、諦めろ。
思春期の高校男子に歯止めなんてねーんだよ。

一旦暴走したら、もう後のことなんて考えられっか!