「………」

どーんと存在感を漲らせた重厚な門の前で俺は頬を引き攣らせた。

やたらと高い塀が、遥か遠くまで続いている。

この位置から中の建物を伺い知ることは出来ないが、いちいち見なくても半端ないお屋敷であろうことは容易に想像できた。

「マジかよ」

うちも親父が会社経営してるし。別に金には困ってないけどさ。


………でも、これは、明らかに格が違うだろ?

「…森口の家って何やってんの?」

振り返って問うと、そわそわと落ちつかなげに、辺りを見回していた森口は

「え!?」

と甲高い声をあげて俺を見た。

……なんだ?

片眉を上げて森口を見下ろす。

さっきから、明らかに様子がおかしい。


「なに、きょどってんだよ?
なんかあんのか?」

「い、いえ」

森口は俺の言葉に、作り笑いで首を振ると

「あ、ご親切にありがとうございました!
では、明日学校で。ご機嫌よう」

早口にまくし立て、鞄を催促するように手を差し出した。

……なんだか

さっさと帰れと言われてるみたいで、ムカつく。

眉をしかめながら鞄を返そうとした瞬間、