森口に追い付いて、道を塞ぐように正面に回り込んだ。

肩で息をしながら、仁王立ちで、背の低い森口を見下ろす。

彼女はぽかんと口を開けて俺を見た。

「え、片桐くん?
どうし……」

「なんで、帰ってんだよ」

乱れた呼吸を整えながら、睨み付けると、森口はビビったように後ずさった。

「なんでって……。
あの、濱名さんと抱き合ってたからお邪魔かなって……」

「抱き合ってねーよ!!
お前の目はフシアナか!!」

張り上げた声に、ビクンと森口の細い肩が揺れる。

怯えた切った表情に、俺はぐっと詰まって口をつぐんだ。


……まずい。

脅してどうすんだよ?



手の平で顔を覆い隠し、横を向く。


指の間から、ちらっと視線を走らせると、青ざめた森口が小さく震えている姿が見えて……


……くそっ


俺は軽い罪悪感に苛まれながらガシガシと頭をかいた。