もやもやした気持ちのまま受けた英語の授業は、

当然ながら、まるっきり身が入らなかった。

斜め前に座る、森口の白いブラウスが時折、視界の端をちらつく。

その度俺は自分を律するように、目を伏せた。

いかん。
授業に集中しよう!

頭を振り、太った教師が汗を垂らしながら読み上げている、ヒヤリング問題に耳を傾ける。

今はちょうどカールがリンダと出くわしたシーンらしかった。

しばらく真面目に問題を解いていたが、お経みたいな下手くそな発音にうんざりして俺はシャープペンを机に転がした。


大体


リンダがどこで誰とサイクリングしようが

カールがどこで誰と飯を食おうが

そんなの俺の知ったことじゃねー。


ケインの趣味にも

キャサリンの家族構成にも。

全く興味はないんだ。


俺が知りたいのは、

ジョンソンの明日の予定でも、

エミリーの将来の夢でもない。