いや、だからといって、

別に好みってわけじゃない。

あのダサさは、いくら立ち居振る舞いに気品があったって、隠し切れるもんじゃない。


大体。

なんでこの俺様が、森口ごときに片思いしてる気分にならなきゃいけないんだよ?

可愛い女の子なら他にたくさんいるじゃないか。

この間告白してきた香織ちゃんなんか、胸もでかくてさ、顔だって……顔どんなだったっけ?

あ、やべ。胸ばっか見てたからあんまり思い出せないな。

いや、ま、とにかく。

少なくとも、森口なんかよりは数倍上だったことは確かだ。

だいたい森口なんて、

くそ真面目ながり勉タイプで、会話なんかいかにもつまらなそうだし、

性格だって暗いし

胸ないし

色気ないし

眼鏡だし……



「………好きなのか?」

「うおっ!?」

不意に机の上に現れた生首にそう囁かれて、俺は驚きの余り変な声を上げて椅子から転げ落ちそうになってしまった。