使者の黙示録

野瀬は団司に問われたことに、まだ答えていない。

タバコを灰皿にすてようとして身体を硬直させたままの野瀬は

そのタバコを灰皿に落とし、それを自分の心を切り替えるスイッチとする。

野瀬も闇の世界に生きる人間であり、また、その道のプロである。

団司の問いに対して、ふつうの人間には考えつかないような見事な答えをかえす。


「よく、私だと分かりましたね」

「まあね」

「私は影がうすいので、みんなから存在感がないと言われるんですよ」

「わははは」


無邪気に笑う団司に、なにかを企てている様子は見られない。