使者の黙示録

アーケードの通りを、修道院の少女たちが歩いてくる方向とは反対側から足を進ませる野瀬は

団司の姿を確認することなく、公園につづく広場までやって来ると

そこから右手にある公園に向かい、灰皿のある場所を見つけ出す。

いま、無性にタバコが吸いたい野瀬は、1本のタバコを手にすると

携帯電話が故障したことに思考を走らせる。


(あれは偶然か?)


所持する携帯電話が、2台とも原因不明の故障に陥る事態に

もし、これが偶然だとすれば


(そういう状況を呼び込んでくる人間を相手に、絶対に勝ち目はない)


そう考える野瀬である。