私の瞳には普通じゃないモノが映る。



1st episode ―少女と悪魔―



「はぁはぁはぁ。もう!どこまで走らせるつもり!?」

 緩い坂になった道を一人の少女が走っている。大きな独り言を言いながら。一般人にはそういう風に見えているだろう。何故なら少女が追っているモノは普通の人には見えないモノだから。
 ふと少女が追っている黒い小さな光が飛ぶ方向を変えた。光は坂の途中にある横道へ吸い込まれるように消えていく。

「ちょっと!」

 数秒遅れて少女が横道の前へ到着する。そして、その先に続く道を見て少女はガクリとうなだれた。その横道は神社へ続く長い階段になっていたのである。今まで散々走らされたため、少女にはこれからこの階段を上る気力も体力も残っていない。それを嘲笑うかのように光は石段の中腹で楽しそうにくるくると回っている。

「そっちがその気なら」

 それまで膝に手をつき息を整えていた少女がパッと顔を上げた。

「こっちだって強硬手段をとらせてもらうから!!」