笠井は、たくさんの、あたしの知らない友達の中でも本当に必要とされていた人だった。

そして代表の彼は最後に泣きながら、こう言った。

僕は性格が悪いから、すぐには、そっちに行きません。もっと、ずっとずっと時間がたってから行くから、だから、さよならは言いません。またな。


私は涙がとまらなかった。
本当に私達が伝えたかった事を代弁してくれたと思った。

私も、さよならは言いたくない…


そして最後の別れ。

一人ずつ一輪の花を笠井の体の横に置いて行き、別れの言葉を言う。

何を言おう…考えたくて、最後の方に並んだ。

一人また一人花を置き泣きながら去っていく。

気がつくと、ずっと元気にふるまっていた一つ下の弟が、
『兄ちゃん、兄ちゃんやだよ、兄ちゃん』
っていいながら笠井の顔の横から離れないで、くっついているのが見えた。

弟に限界がきた瞬間だった。

私の番…

『笠井…』
そう言って顔の横に花を置いた瞬間、涙がとまらなくなって、
『イ…ヤ…やだ、笠井、笠井やだよ…やだよ…やだよ』
私は、そう言いながら、その場に泣き崩れた。