亡國の孤城 『心の色』(外伝)

リネットの細い指が、キングを突っ突いた。


「………………負ける事など有り得ない、勝つ事しか頭に無い、勝つ事に意味がある、勝ち組は素晴らしい………………そんな殿方は、この願ってもみない状況をどうするのかしら…?………………貴方の望みは何かしら…?……………アベル」

「………望み?」

「………そう、望みよ。………………私のこの目の前のキングを取れば……貴方の勝ち。ちょうど十勝ね。そして賭けに負けた私は………罰として、貴方に愛の告白なんていう口が裂けても言わない台詞を吐かねばなりませんわ………………………貴方の勝ちは、私の屈辱そのもの……」









勝つ事にこだわるものは、この好機を逃す筈は無い。

野望があるから。

目の前の勝利が欲しいから。







ならば、勝ちを狙うアベルも………これを逃す訳にはいかない。

逃す筈が無いのだ。



なぜなら貴方は……私に勝ちたい筈だから。……負けたくはないでしょう?

私が罰ゲームの愛の告白なんていう、イカれた台詞を吐くのが胸糞悪い様に………貴方だって嫌な筈だもの。






「…さあ、アベル。これは試験という名の、私からのささやかなプレゼントですわ。堂々と貪欲にこのキングを奪い取り、勝利を得なさいな。そして私の屈辱をとくとご覧なさい。………………それともこんなやり方で勝つのは悔しいかしら?でも今ここで避けてしまえば、今日は私の勝ちね。勝負はまた次に持ち越しになりますわね。ホホホホ………」