亡國の孤城 『心の色』(外伝)




















「―――殿方、そのもの。…単純過ぎて逆に理解し辛いかしら…?」


フフッ…と上品な笑みを漏らし、リネットは別のポーンを一マス進めた。





「………もっとマシな答えは無いのか……という顔ね。残念だけど…これでも、大真面目よ」

…不満そうに眉間にしわを寄せるアベル。

……不服かしら?ならばそんな質問、しなければよかったのに。


「………あんたの中では、男は皆悪者か?」

「そのとおり。……悪者…ね。………………私はね、信用していないの…」

仕返しとばかりに、リネットはアベルのポーンを一つ取った。

つい先程まで睨み合いが続き、一向に進まなかった戦争が、今は両者ともターンが来た瞬間に駒を進めていた。

………戦場は慌ただしく変化し、次々に領地を広げ、あらゆる場所で兵士の衝突が起こっていた。


「………殿方なんて……馬鹿で、傲慢で、常に野望を持っていて………だから男尊女卑なんて社会が生まれるのね……いやらしい………………殿方の皆が皆……そうでは無いかもしれないわ。でも残念なことに………………私はそんな殿方しか知らないの」




………冷たい刃の様な、突き刺す言葉を言い続けるリネット。

何処か冷めた口調の彼女は、何かに絶望している様な…虚ろな瞳だった。






………人一倍正義感の強い彼女はきっと………自分を取り囲む社会が嫌いなのだろう。

そしてその軽蔑のまなざしは、基盤となる社会を作った男性社会………男、という単体に絞られたのか。









「………ですから、私に会いに来る差し金は勿論嫌い。………政略結婚は政略がメインですものね」