「そうか…そうだったのですね!!なかなか気付いてあげられず申し訳ありません姫!……気分を害しているという貴女の嘘は、僕の気を引いてこんな人目に付かない場所に来たかった故の可愛らしい乙女心の現れだったとは!!なんて可憐なのでしょうリネット姫!!リネット姫!!」
「貴方どれだけポジティブなのよ!!人気の無いって……階段に上がっただけじゃない!この妄想男!!あと名前を連呼しないで!!次言ったら舌を抜くわよ」
…が、リネットの罵倒は彼の耳には届いていない。
自己中男は妄想世界に浸りながら、更に距離を詰めて来た。
…そのムカつく顔を、掴まれた手の肘で押さえ付ける。
(こいつを殺して私は生きる…!!)
強い決意を胸に秘め、リネットは……これはほぼ殺人なのだが、この男を階段から突き落とすべく、身構えた。
………ああ、創造神アレス様、その他の小さな神様、この際何でもいいから何かの神様っぽい神様………私の罪を御許し下さい。
もし良ければ、私の罪は全部こいつに被せて下さい。
正直な話、私は悪くないし。
コンマ一秒位の速すぎる祈りを捧げ、リネットは体当たりするべく本の少しだけ後退した。
「―――何やってんだお前ら…」
……という、第三者の声が、格闘するリネットに投げ掛けられた。
その声は階下から。
しかめっ面で階段の下を見ると………………………ポケットに手を突っ込んで呆れ顔で階段を上って来る、アベル少年。


