「遠慮はいりません!!さあ、恥ずかしがらずに!僕の手に全てを委ねて下さい!」
「意味が分からないわ!!………っ……もう、気分は悪くないわ!!だからこの汚ならしい手を退けてちょうだい…!!」
一階と二階の半ば辺りの階段上で、リネットはようやく自力で手を振りほどいた。
……何とか、解放された。もういい、もういいわ。もう沢山よ。こんな、殺意しかわき起こってこないポジティブ野郎はこれっきりにしてもらいたいわ。自室に帰らせて頂きます。
げんなりとしながらリネットはそのまま階上の自室へ足早に戻ろうとした。……が、あろう事か、追い討ちをかける様に、少年はその手を再び掴んできた。
―――あ゛あああああ!!!
誰か斧を持ってきなさい!!今すぐ!!今すぐよ!!
不機嫌ボルテージは当の昔に沸点を越え、今にも爆発しそうなリネット。
道連れでもいい。どうなっても構わないから、このまま階下に突き落としてやる。
………と、鋭い眼光を投げ付けるかの様に少年に振り返る。
が、その直後、リネットは「ひっ…!?」と短い悲鳴を上げてのけ反った。
滅多な事が無い限り驚いたりなどしないリネットだが…無理も無い。
瞬く一等星の様に瞳を輝かせた自己中男が………目と鼻の先にいたのだから。
近い近い近い。
近い!!
青ざめている間に、あろう事か、両手を握り締められた。
しまった…!
非常に望ましくないシチュエーションが始まろうとしている現状。
少年はずいっと顔を近付けて来る。


