心底面倒臭い、この人に雷でも落ちないかしら、あの辺のシャンデリアがちょうど良く落下してこないかしら。
…などと洒落にならない事をブツブツと呟きながら溜め息を吐いたところ…。
この自己中な差し金はこんな時だけ反応してきた。
「おやリネット姫、気分でも悪いのかい?」
「………別の意味で最高に悪いわ。腹が煮えくり返りそうですの…」
「それはいけない…!…では、もっと日当たりの良い場所へ!この一階の広間は少し肌寒いからね」
「………遠慮しておくわ……それより私から可能な限り遠くへ行って下さいまし。でないと私、貴方を殺しかねないわ」
「ハハハ!なるほど、分かりましたよ姫!よほどの恥ずかしがりやなのですね!なんて繊細で奥ゆかしい!」
この人、今すぐ、埋めたい。
握った扇子がへし折れてしまいそうな程力んだ拳を下ろし、リネットは引きつった笑みを浮かべた。
「……貴方ってあれね。見てると吐きそうだわ」
「ややっ!そんなに気分が悪かったのですか!!やはりあちらへ行きましょう!」
「…っ……ちょっと…!」
けなされている事を分かっていない少年はおもむろにリネットの手を取り、鼻歌を歌いながら階段を上がって行く。
手を引かれたままなす術も無く階段を上がっていくリネットは、少年を憎悪の目で睨み付けながら必死で抵抗を試みていた。
「ちょっと!!………この手を退けなさいよ…!!」
扇子でバシバシと少年の手を突いたり叩いたりするが、びくともしない。


