―――死の世界にあるといわれる、この世には存在しない美しい花を取って来て下さい。
お姫様は求婚者である三人の王子様にそう言いました。
死の世界にある花は、誰も見た事がありませんでした。
何故なら、死の世界に行くには、死ななければ行けないからです。
死んでしまっては、お姫様や財産、地位どころか元も子もありません。
三人の内の二人の王子様は、怖くなってお姫様の元から去って行きました。
誰もが死を怖がって逃げ出してしまうお姫様の難題でしたが。
一人の王子様だけ、その難題に挑戦すると言いました。
お姫様は言いました。
―――死の世界に行くには、死ななければならないのですよ。
死の世界に行く扉を潜れば、貴方は死んでしまうのですよ。
もしかしたら戻って来れないかもしれません。
それでも良いのですか?
お姫様の問いに、王子様は答えました。
―――分かっています。もしかしたら、もう二度と戻れないかもしれない。
貴女と会うのも、これが最後かもしれない。でも、僕は行きます。死の世界への扉を、開けます。
怖い筈なのに、何故でしょう。
王子様は生きていたい筈です。
勇気があっても、それだけでは足りない筈です。
死は怖い筈です。
でも、何故でしょう。
王子様に、迷いはありませんでした。
―――貴女は、どうしてそこまで、と思っていることでしょう。
確かに、僕は生きていたい。勇気も無い。死が怖い。
ですが、それでも行くのです。
王子様はお姫様の前に立ち、言いました。


