亡國の孤城 『心の色』(外伝)





多くの家来や大臣に頭を下げられながら、ようやく辿り着いた応接間。

その後ろから遅れてチェス盤と駒、香り立つダージリンを抱えて来る召使が続いた。


応接間の扉の両端に並ぶ家来が、恭しくお辞儀をして扉に手を掛けたが……リネットはそれを制した。






「私一人で会うわ。………人払いをなさい」





















家来も何も、付いて来ている召使以外誰もいなくなった廊下で、リネットは扉と向かい合った。


その無駄に重苦しい扉をゆっくりと開けると……。






…きらびやかな豪華なシャンデリアに、品の良いデザインの家具。
細かなレースのカーテンが風に揺れ、薫き込んでいた甘い香りが鼻をくすぐる。



見慣れた室内。



だがその中央に…。




















―――…一人の、少年。


………艶のある黒で染まった短い髪に、色白を通り越して青白くも見える肌。
…流れる前髪から覗く澄んだ碧眼は、リネットをしっかりと映していた。


……姿勢を正して真直ぐ佇み、少年は恭しく……無言で会釈した。












「………お茶とチェスはそこのテーブルに置いて………貴女も出て行ってちょうだい。持って来てくれて有り難う」

少年から目を離さずにリネットは淡々と言った。

召使は言われた通りにてきぱきと動き、頭を下げてすぐに退室した。























………二人以外、誰もいない静かな空間。






互いに見詰め合う奇妙なこの間を……少年の礼儀正しい挨拶が破った。