直らない機嫌はそのままで、レースの付いたきらびやかな扇子を手元でパチパチと開閉しながら長い廊下の真ん中を歩いて行く。
………お母様からの差し金は、今日はこれで終わりだったかしら。
明後日のお茶の時間にも、なんとか公爵のなんとかが来るとか来ないとか。
あら、男爵だったかしら。
もう何でもいいわ……。
「…………片腹痛い事、この上無いわ…………先鋭部隊に暗殺でもお願いしようかしら」
……末恐ろしい、そして先鋭部隊からすれば迷惑な話でしかない事を呟きながら、リネットは扇子を強く握り締めた。
そんな黒い負のオーラを撒き散らしていたリネットの背中に、召使の女が一人声を掛けてきた。
「姫様!!リネット様!!」
タタタッ…と、スカートの端を摘んで駆けて来た彼女に振り返り、何事かと首を傾げる。
「………何ですの?バンジーの殿方の事で文句でも言われたの?慰謝料なら払わない、むしろ払いなさいとでも言っておいてちょうだい…」


