「………あ、そう言えば今日は剣術稽古だった…」
ふと思い出した様にキーツは言った。
目下でぶら下がる少年からパッと視線を外す。
「剣のお稽古…もう長いことやってるわね。昨年の、首都で開かれた貴族内での剣術試合、キーツったら優勝しちゃったものね。今年も優勝してね」
日夜続けてきた鍛練とその才能により、キーツは僅か11の歳で優勝杯を勝ち取っていた。
アレクセイが歓喜に涙を流し、それからしばらくは実にうるさかった。
オーウェンは面倒だと言って参加していなかったのだが、正直、彼が加われば優勝の座は危うかった。
近頃、彼は剣よりも槍の方に興味がわいたらしい。
「……今年も優勝したいけど…どうかな…」
…などと、あまり自信が無いのか困り顔で首を傾げるキーツ。
その彼にリネットはキラリと目を光らせた。
「…それしか能が無い貴方がその様でどう致しますの?……他はスッカラカンのくせに………ローアンが応援しているのですから、それに応えるのが筋というもの!死ぬ気でおやり!!そしていっそ死になさい」
「なんか余計な言葉が最後に付いてる!!」
さぁっ…と青ざめるキーツ。階下からアレクセイの呼ぶ声が聞こえ、とにかくローアンとキーツは部屋から出て行った。
「………………婚約をする前に、自信を付けなさいな………とんまなキーツ坊や」
ふぅっ…と深い溜め息を吐き、リネットは遅れて退室した。
未だにぶら下がっている、なんとか男爵のなんとかは、どうせ誰かが死に物狂いで助けるだろうから、放置。


