バレンはそう言って、指先で器用に煙管をクルクルと回しながら悲鳴に満ちた城を後にした。




………何となく、この城から離れたかった。
少しでも。






………胸の辺りをチクチクと刺す、この奇妙な痛みが……増す前に。








―――おかしいな。







……何がこんなに、痛いのだろう。



















城下から部下を引かせてから間も無くの事だった。






――それは、あまりにも突然だった。























城を中心に、純白の閃光が天高く昇ったかと思うと………。
















全てを吹き飛ばす様な、巨大な衝撃波が大地を駆け巡った。











沈黙の森は草原の海の様に激しい突風に揺れ、砂埃…と言うより岩埃が地表を蹴って行く。


枝や瓦礫、城壁の一部が衝撃波に呑まれ、上空に舞い上がり、雨の如く降り散った。
























「…………ああ?……………どんな有様だよ…これは……」





なびく赤い髪の乱れなど気にも止めず、バレンは樹々の天辺に跳び移った。