「で、では…人口調査となると…村の者を呼びに行かねばなりませんね。……村民は皆…その、何と言いますか……村の外の人間には少々閉鎖的ですので、調査ではわしも一軒ずつ周りましょう……騎士団様にご迷惑をお掛けする訳にはいきますまいて…」

「御計らい、感謝します」

ぐるりと見渡した感じでは、この村の家々はそこまで多くはないように見える。村長の付き添いもあるのだから、これならスムーズに事が進みそうだ。各家を周る人口調査はリストを含む二、三人の兵士で行い、それ以外は資材の運搬にまわる事となった。
羊皮紙と羽ペンを携える者と、腕まくりをして肩を回す者とに分かれる。

「それじゃあ、手筈通りこっちは調査をしてくるから後は任せた。資材はあの入口手前と、その奥側に置いてくれとのことだ。調査が終え次第こちらも手伝う」

「分かりました。他に何かありますか?」

「あの毒舌怠惰野郎もきっちり働かせろ。きっちり。作業の半分くらい。途中でいなくなったら報せる様に」

しわの寄った眉間に更に深いしわを刻ませた強面で告げるリストに苦笑し、兵士達は各々の役割に従って動き始めた。