昼の休憩後は、何処の師団にも配属されていないダリルには、はっきり言って決まった仕事が無い。故に、自主的に何処かの師団に手伝いに行く。 ここはやはり、最も人手を欲している復旧作業に今日という時間を費やそうか…と、とりあえず工具や木材を詰めた馬車がちらほらと見える、城の外に足を運ぼうとした。
その途端、だった。
「―――おい誰か!手が合いている者はいないか?…出来れば、首都から西側の農村の地理に詳しい者がいい!」
大広間に、聞き慣れた少年の声が何処からともなく響き渡った。
耳にした誰もが一瞬足を止めかけるが、大半はそのまま聞き流して仕事に向かう。
…そんな中でただ一人、ダリルだけは足を止めた。背後で声を張り上げた当人に向かって、ゆっくりと振り返る。
焦点の定まらない盲目のダリルの瞳は、常に闇を映している。だが、彼の『理の者』の能力が主の障害を難なくカバーする。
ダリルは何も映らない飾り同然の目で、周囲の人間や景色を見ている訳ではない。意識を向けた先の光景、物の形、人の吐息、あらゆる命の鼓動、風の軌跡…それらが瞬時に頭の中で浮かび上がるのだ。
ダリルにしか分からない感覚だが、見ているのではなく、描いている…と言った方が正しいのかもしれない。
ダリルの能力は休みなくフル活動しており、そして今、振り向いた先の景色も勿論一瞬で頭に描かれていた。
数歩離れた場所から、人手が足りないと叫ぶ少年をじーっとダリルは凝視する。
「…リスト様、やはり難しいです。皆、既に役割分担をされておりますから…」
「そうは言ってもな………人口調査も同時進行なんだ。こっちが終わればすぐに復旧作業に加担出来るし…」
「…やはりあらかじめ、地理に詳しい者を探しておくべきでしたね………我々が迷子になる心配もありませんし。……一人いるだけでだいぶ違うのですが…」
…と、部下と一緒に呻いていた声の主は、自分とあまり背丈も年齢も変わらない少年……リストだった。
その途端、だった。
「―――おい誰か!手が合いている者はいないか?…出来れば、首都から西側の農村の地理に詳しい者がいい!」
大広間に、聞き慣れた少年の声が何処からともなく響き渡った。
耳にした誰もが一瞬足を止めかけるが、大半はそのまま聞き流して仕事に向かう。
…そんな中でただ一人、ダリルだけは足を止めた。背後で声を張り上げた当人に向かって、ゆっくりと振り返る。
焦点の定まらない盲目のダリルの瞳は、常に闇を映している。だが、彼の『理の者』の能力が主の障害を難なくカバーする。
ダリルは何も映らない飾り同然の目で、周囲の人間や景色を見ている訳ではない。意識を向けた先の光景、物の形、人の吐息、あらゆる命の鼓動、風の軌跡…それらが瞬時に頭の中で浮かび上がるのだ。
ダリルにしか分からない感覚だが、見ているのではなく、描いている…と言った方が正しいのかもしれない。
ダリルの能力は休みなくフル活動しており、そして今、振り向いた先の景色も勿論一瞬で頭に描かれていた。
数歩離れた場所から、人手が足りないと叫ぶ少年をじーっとダリルは凝視する。
「…リスト様、やはり難しいです。皆、既に役割分担をされておりますから…」
「そうは言ってもな………人口調査も同時進行なんだ。こっちが終わればすぐに復旧作業に加担出来るし…」
「…やはりあらかじめ、地理に詳しい者を探しておくべきでしたね………我々が迷子になる心配もありませんし。……一人いるだけでだいぶ違うのですが…」
…と、部下と一緒に呻いていた声の主は、自分とあまり背丈も年齢も変わらない少年……リストだった。


