今思えば。
あの、騎士の塔の廊下で出会った白髪の男は。
本当に、亡霊か何かだったのかもしれない。
あの男はきっと、死神だったのだ。
私にとっても、この国にとっても。
あの男の言葉が、泡の様にゆっくりと上がって来ては、弾けて消えていく。
弾けて、消えて、弾けて、消えて…。
……死神の言葉は、預言だったのだ。
あの男は、私に未来を告げたのだ。
未来を、言葉で、見せたのだ。
しかし私には、どうすることも出来ない。
男の告げる未来に、何もする事が出来ない。
何故なら、あの男は。
私の、そう遠くは無い未来をも、予言していたからだ。
私には、守れない。
死神は、そう言ったのだから。


