亡國の孤城 『心の色』(外伝)


手塩にかけて育てる予定の男の子は、父親譲りの赤と琥珀色の珍しいオッドアイだという。
是非ともお目にかかりたいものだ。


「教育、頑張って。…たまには顔を見せてくれよ。手紙でもいいから。……ああ、そうだ。最後に一つ、良い報せを聞いて帰ってくれないかな」

「おや、何でしょうか?」

退室しようとドアの取っ手に手をかけたまま振り返るアレクセイに、クロエは嬉しそうな柔らかい笑みを向けた。







「…また、子供が出来た様なんだ。三人目だよ」




















「弟かしら?それとも妹かしら?…エルシア、どっちも欲しいから迷うわー」

「私は、私のめいれいにしたがうのならば、どっちでもいいですわ」

「そうかそうかー。…………………それにしてもやっぱり可愛いなぁ、二人共」

また一人、妹か弟のどちらかが生まれるよと話してみれば、二人の娘は彼女達らしい各々の反応を見せた。
エルシアはうっとりとした表情で何処か明後日の方向を見詰めながらフラフラしているし、リネットに関しては「…まぁ、たいくつは…しませんわね…」と二歳児らしからぬ悪どい笑みを浮かべている。

生まれるのはまだまだ先。大臣達の中からは、是非とも男児を…という声も聞こえてくるが、クロエにとって性別など関係無い。
無事に生まれてきてくれれば、それでいい。

今度生まれてくる三人目の子は、カルレットに似ているのだろうか。それとも自分だろうか。
ああ、待ちきれない。とてもとても、楽しみだ。


二人の天使達の、あまりの可愛さに感極まって頬擦りをしていたクロエを、召使の一人が呼び止めた。
どうやら、カルレットの診察が終わったらしい。少し前に医者も帰り、今は寝室で眠っているのだという。


「お医者様の話では、お腹の子は順調に育っているとの事ですが……その…」

不思議そうに見上げてくる二人の姫から目を逸らし、言いにくそうに言葉を濁らせる召使。
クロエはさりげなく場所を変えて二人と別れた後、階段を上りながら会話を続けた。