亡國の孤城 『心の色』(外伝)



化物と、消える死体。

あまり結び付けたくない組み合わせだが、大臣の言う通り、可能性はゼロではないのだ。
………例え関連性があったとしても、どんな因果があるのか見当もつかない事には変わりないが。

「………何か起こってからでは遅い。騎士団での調査を強化したいところだが………出来るかい、総団長…」

腕を組んで考え込むクロエは、視線だけをアレクセイに向けた。
…常に、人のいい穏やかな表情を浮かべているアレクセイであるが、軍議の中では総団長として相応しい張り詰めた空気を纏っている。


口元には微笑を浮かべているものの、重なった視線は矢のごとき鋭さだ。


「………出来る、と言えば出来ますが………陛下の御命令が最優先となっております故、今はあまり充実した結果は出せないでしょう…」

「………陛下の御命令……ね………。………まだ続いているのかい…?……………………………『魔の者狩り』は…」






現国王陛下であらされる、フェンネル王52世がそんな無茶苦茶な勅令を下したのは……一体、いつだったか。

自分がこの城に来た当時よりももっと前からだったから………少なくとも、五年……いや、十年前位にまでさかのぼるだろう。




………罪も無く無慈悲に殺されていった魔の者達。


その数は、計り知れない。

ご自身の腹心の命を奪った時、陛下は、何を思われていたのだろうか。それとも、何も思われなかったのか。



何とも言えない暗い空気の中、アレクセイはただ淡々と口を開く。

「………まぁ、その勅令もそろそろ……終わりが見えております。………殺し尽くした様ですので…」

「………」











そう言って笑うこの老人も、一体何人その手で殺めたのだろうか。