「―――………地に落ちるまでは…………………僕の…自由…」

























…屍の臭い。





………真っ赤に染まった地面。

血溜まりの中の人間。



何処の部分か分からない肉片と、絡み付くふやけた血管。





点々とちりばめられた白い歯と、丸い丸い、眼球。









湿気た皮膚に食らい付く獣。












「―――………色褪せるまでは………僕の自由……」



















開け放たれた扉。



真っ暗な冷たい…何処か血腥い闇から絶え間なく聞こえてくる、悲鳴。


悲鳴。











悲鳴。
















……足元にいるのは……夜でも映える白い隊服の兵士。横たわった彼は、今はもう屍になる寸前だが。





彼の血肉を貪るライマンの頭をそっと撫でて、途切れ途切れのメロディーを、口ずさむ。

「………………僕は自由…………僕は………………自由………」










生気の無くなっていく彼の瞳が一瞬自分を映し………ギロリと睨んだ。




その眼球に、ライマンの牙が食い込んだ。



















「……………自由な僕は………さらけ出す…………………この色を……」

















食事中のライマンの隣りで屍を覗き込みながら、煙草の煙を、彼にフウッと吹き掛けた。




煙は彼を覆う前に、空へ上がっていった。













「………さらけ出す…………僕の色は…………………………………………単なる、緑……」