亡國の孤城 『心の色』(外伝)




「お父様ぁ、お祖父様へのえっけんは終わったのでしょ―?今日は他に何をなされるの―?」

なかなか流暢な娘。スケジュールを訊いてくる辺り、多分遊びたいのだろう。

………それにしても……えっけん、だなんて…。

………ああ、エルシア!お前はいつ謁見だなんて難しい言葉を覚えんだい!
なんて賢いんだ!とても私の娘だとは思えない!!しかし私の娘だ!!神よありがとう!!


再び緩みそうになった涙腺を根気で締め、クロエは笑顔を浮かべた。

「今からかい?……軍部機関との会議があるんだよ。…すまないねエルシア」

「…いいですの―。お仕事頑張ってくださいませぇ―」

労いの言葉をかけてくれるだなんて…!!

ああエルシア!!お前は本当に私の子なのか!!
そうだよ私の娘だ!!
神よ、家族の次に愛しています!!
神よ(略)


















「お元気そうで何よりで御座います、クロエ様」

エルシアと別れて軍議室へ向かう途中の長い廊下で、背後から親しげな声が聞こえてきた。

少し緊張していたクロエにとって、その声は糸をやわらげてくれる様なそんな存在だった。
クロエは勿論笑顔で振り返った。



「……やあ、総団長殿。久し振りだね。………あー……軍議前にかしこまった言い方は止めよう。…疲れるだけだからね…………良いかな?アレクセイ」

そう言うと、優しげな笑みを返してくれた初老の軍人。緑と白を基調とした軍服をピシッと着こなした総団長ことアレクセイは、苦笑を浮かべた。

「…お好きな様に」



二人並んで軍議室に向かいながら、身分差など気にしない様子でお互い会話をしていた。