二歳になったばかりの愛娘エルシア。
柔らかな金髪とその可愛らしい顔立ちは、どうやら母親似の様だ。
笑顔が天使の様だ、と言ったら、この子は「天使はもっと可愛いですわぁ―」と恥ずかしそうに謙遜して言った。
…謙遜。…うちの娘はなんて品の良い子なのだろう!
女の子らしいし、可愛いし、母親似だし、「お父様ぁ―」と子犬の様に駆けてくる。
ピアノは最初、何故か『ミ』にこだわって『ミ』しか弾けなかったのに今では行進曲が弾ける程で、稽古が終われば「お父様ぁ―」と子猫の様に寄り添って来る。
花を愛で、動物を可愛がり、生きとし生けるものに優しいエルシアは、唯一口に合わないらしい鶏肉の皮を前にすると「お父様ぁ―…」と泣きそうになりながら、しかしやはり可愛い泣き顔で、どうか代わりに食べて下さい…と、世界一綺麗な清流よりも比べ物にならないくらい、もう例え様のない綺麗過ぎる涙を流してお願いしてくる。
なんて可愛いのだエルシア!
エルシア、もうお前はこの世に生を受けた時から、この世の宝に違いない。
もしかしたら本当に天使なのではないのだろうか?
あと何ヶ月かしたら何の違和感も無く当然の様に羽なんかが生えてくるんじゃないだろうか?
羽が生えたエルシア……ああ、なんて可愛いのだろう。可愛いなんて言葉足らずだ。
何て言い表せば…?
超可愛い?…超絶可愛い?ヤバ可愛い?
ああもう、私は幸せだな本当に。幸せ過ぎて…。
「………涙が…」
「………お父様ぁ―…?」
独り、なんか役者の如く大袈裟な身振り手振りをしたかと思うと急に泣き出してしまった父に、エルシアは首を傾げた。


