………クロエは一応、第1王位継承者………つまり、今の52世の次に玉座につくべき人間だ。
この国の王の次に身分の高い人間である。誰もがクロエに頭を下げてくるのだ。
…これは誉れ高き位であり、誇ってもいいものなのだが……。
………クロエは、どうも、慣れない。
何と言うか、こそばゆい。
大した偉業も成していないのに、こんなにもちやほやされるのはどうも気恥ずかしい。
元々マイペースで天然(と言われる)、自分よりも他人の幸せを望むクロエは、自分で言うのも何だが………絶対王には向いていないと思っていた。常日頃。
(………どうしたものかな……)
今までの人生できっと体験した事のない、巨大なプレッシャーにひたすら耐えるクロエ。
指先で頬を掻きながらぼんやりと物思いに耽り、無意識で足元の埃を摘んでちり紙に包んだ。
………包んだ。
………ゴミ拾いぐらい召使に任せておけばいいものを……ゴミがあると自分で拾って丁寧に屑籠まで持って行くクロエ。
埃が溜まっているのを見れば、「クロエ様!?」と言う召使の声を無視して箒を持って埃を掃く。
水を零せば「クロエ様!?!?」と言う召使の声を無視して雑巾を取りに行き、丹念に拭く。
………お前、貴族だよな?…と何百回も友人から言われるが……その行動がおかしいとは思っていないクロエは、キョトンと首を傾げる。
何処かほんわかとした、背景にフワフワと花を散らすクロエ。
そんなのが王になれるのか……と、親しい友人は頭を抱える。


