人間の、始まり。
全ての人間の最初の姿。
………愛らしくて仕方無い、この世に生を受けたばかりの、まだ無色透明の……………赤ん坊。
自分の腕の中で僅かに身じろき、パッチリとした可愛らしい瞳を向けてきた。
………じわり、じわりと………何かが胸に染み渡る。
………これが、感動か。
………………これが。
「………女の子…姫君様に御座いますよ」
召使は嬉しそうに微笑んで言った。
女の子。
最初の、私の子。
「………クロエ」
………細かな装飾のレースに包まれた、純白のベッドから………優しい彼女の声が聞こえた。
私は可愛くて仕方無い娘から、彼女へと視線を移した。
娘を抱いたままベッドに歩み寄り、側でしゃがみ込んだ。
娘を見詰める彼女はとても疲れていて、今し方拭った汗が、また額を伝って流れていた。
私と彼女の二人で娘をじっと見ていると、彼女は微笑を浮かべて私に言った。
「………クロエ……この子の名前………前に決めた名前で良いわよね…?」
「………勿論だよ…。……………なぁ…?……」
光沢を放つ、柔らかな淡い金髪を指先で撫でながら、私は娘を覗き込んだ。
嬉しくて、嬉しくて……………。
………もう、どうやってもにやけてしまう。
可愛い。
………私と彼女の………小さな娘。
「……なぁ…エルシア」


