亡國の孤城 『心の色』(外伝)

「はっ!?………いや………ちょっ………………待っ…………っ―!?」


首筋をクンクン嗅いでいたイブに、レロー…と長い舌で舐められ、ゾゾッとする奇妙な感覚に身震いしながら、変な声が出そうになるのを耐えるジン。



ピアスを填めた耳を牙で甘噛みされ、なんだか力が抜けていく……。





「総団長………美味しいとこばっかり持っていきますよね……。………幸せそう」

「………陛下から聞いた事あるけど、総団長ってイブ様の事…………………あ、睨まれた…」



………リストと共に、兵士等は全員、地上へ戻って行った。

皆、擦り傷や引っ掻き傷や唾液や涙でボロボロになった身体を引き摺り、「………あ………今日って休暇だったっけ」と、傾きつつある太陽を見上げながら、爽やかな笑みを浮かべた。





















「―――滑稽ですな、ジン」

「………うるせぇよ糞ジジイ………この冷血人間………っ………三途の川でも下見……してきやが…れ………………っ……!……………駄目!!駄目です!!この手を退けて下さいっ…!!」

帯をグイグイ引っ張って外そうとしたり、上着を裂こうとするイブ。
鍛練で汗をかいている分、『カナリア』の花の香りが濃い様だった。


吐息はより濃いらしいのか、牙がむき出しの惚けた顔を近付けてくる。

ジンは真っ赤になりながら、イブの頭をガシッと掴み、引き離そうと奮闘していた。

「………っ……アベレット!!近い!!近いと思います!!………………ちょっ……離れて……!」

「嬉しそうですな、ジン」





アレクセイは倒れた丸太に腰を下ろし、頬杖を突いて孫の静かな奮闘振りを眺めながら、陛下の帰りを待った。