亡國の孤城 『心の色』(外伝)



その親子のふれあい場所でもある地下室を荒らしまくるのは心が痛むが、多分、酷い有様になると思われる。

御免なさい陛下!!


心の中で土下座しながら謝り、リストは段々と見えてきた広い地下室に向かって半ば飛び込む様に突っ込んだ。



死に物狂いのリストの視界に広がる、薄明かりが灯された地下室。目まぐるしく動く眼球は…………その、隅の方で動くものをすぐさま捉えた。


………それは…。





















「―――…ジィィィ―――――ン―――!!」



















………普段神出鬼没で、やはり今回も姿を見掛けなかった総団長のジンが、地下室の隅で独り黙々と訓練していた。


上半身は軍服の下に着る黒のノースリーブのみ。下はいつもの軍服にブーツだが、胸から腰まである太い帯で胴体を縛った独特の衣装はそのままだ。

少し動く度に揺れる背中の長い帯は邪魔ではないかと思うが、彼曰く、「慣れです」だとか。


そのジンが、両手に黒の皮手袋を填め、太い丸太に向かって右ストレートを放っていた。
彼の拳が丸太の中央に触れたと同時に、丸太は跡形も無く粉砕した。



そんな静かな空間で鍛練していたところに、自分を呼ぶ声……否、悲鳴。

額の汗を手の甲で拭いながら振り返ると……………猛ダッシュしてくるリストの姿がそこにはあった。






瞬間、ジンはさも嫌そうな表情を浮かべた。



リストは目の前にスライディングしながら止まり、肩で息をしながら……………………………何故か、何かから隠れる様に自分の後ろに回り込んだ。