「リスト様が地下室に!?」
「リスト様―!?地下は逃げ場がありませんよ―!?」
「あああ…どうしたらいいのかもう俺分からねぇよ…………おわぁ!?イ、イブ様―!?」
数秒の間を置いて、イブが鼻頭を押さえながらムクッと起き上がった。
ブルブルと頭を振り、リストが消えた薄暗い地下への階段に飛び込んで行った。
………兵士達はリストの身を案じながら、慌てて地下へ続く階段を下りて行った。
真っ暗な階段は足元が見え辛く、今更火を灯すのも時間の無駄だ。闇に目を慣らして突進むしかない。
一歩踏み込むと、ひんやりとした黒い空気が肌を撫でる。
辺りに目を凝らしたが、二人の上司の姿は既に無く、階段を駆け下りて行く足音らしき音が、地下深くから聞こえてきた。
転がり移動から体勢を立て直し、ちゃんと直立歩行で走るリスト。
地下に逃げ道は無い事は知っている。知ってはいるが、進む他無いだろう。今引き返せば確実にイブに出くわし………食われる!
応戦しようにもここは暗過ぎる。地下の訓練場ならば多少明るい。………そこまで下りる!!
もう階段を踏み外そうが何だろうがどうでもいい。
進めればいい。前へ…前へ!!
…長い長い階段を下りた先には、鍾乳洞の様な広い空間が広がっている。
ここは訓練場として昔から使われており、丸太や的など、剣術や体術の鍛練をするための様々な道具が用意されている。
陛下も時間がある時は、この地下室を使っている様だ。
ルウナ様が側で意味も無く拍手をしているのを見た事がある。


