美少女に頭突き!?
この人無茶苦茶だな、と驚く周りの面々。
ゴツッ…と頭蓋骨同士がぶつかりあう鈍い音が響き渡った。
「ニャッ!」と、イブは声を漏らしてのけ反り、額と鼻を押さえる。
…その隙を、逃す訳にはいかない。
もはや死に物狂いで…本当に気が狂ったのではないかというくらい、リストは必死でイブの下から脱出した。
………床を転がりながら。
目にも止まらぬ物凄い回転速度を保ちながら、リストの身体はゴロゴロゴロゴロ…と大広間の中央から一気に端の方へ移動した。
なんて格好悪い逃げ方なんだ!
逃げ方に格好良いも悪いも関係無い!!
正義のヒーローだって命の危機に直面したら、どんな不格好な逃げ方でも何でもするだろ!
現実なんてそんなものだ!
………どう見られようが知った事ではない。
笑え、罵れ、そしてやっぱり笑うがいい。
行く宛ても無く、リストはただただ出来る限りイブから離れたいがため、転がり続ける。
自然、大広間の壁にぶち当たる。
もしくは、別室に通じる扉に当たる。
………だが。
移動していたリストの身体は勢いよく、扉にぶち当たった。
ここまでは予想していた範疇だった。
ここまでは。
「………っ!?」
ぶつかった扉を開け放ち、リストはそのまま扉の向こう側に転がり込んだ。
………しかも、その先は角度共に高低差の激しい階段が地下に続いており、リストの回転速度は更に増した。
……あああああぁぁぁ―……と、階段を転がり落ちて行くリストを、兵士達は遠巻きに見ていた。


