この人、私怨に走った!!
キレる寸前の上司を前に、周りはあたふたとし始めた。
「どうしてそういう方向に向くんですか!?」
「………特務師団長がそんなやけになってはいけません!!」
必死で怒りを鎮めようとするが、彼の怒りは冷めそうにない。
「ああそうだよ!特務師団長だよ!!国家騎士団の幹部で軍部全般を統一させる……………………ていうか本当に統一させないといけないのは総団長だろうが!!何処行ったジンは!!」
バンッ!!…と再度叩いたまな板が、粉砕した。
そうだよ!
総団長は……ジンは何処行った!!
総団長のジンは何処だ!!
こんな異常事態に何処で油売ってるんだ!!
幽霊部員みたいな総団長なんて聞いた事無いぞおい!!
「………あの眼帯野郎め…!!………こんな時に………………………見付けたらただじゃおかねぇ…!!」
言うや否や、リストは踵を返し、足早に調理場から出て行った。
兵士等はその後ろを慌てて追い掛けた。
「こら出て来い馬鹿娘―!!俺が相手してやる!!」
大勢の部下達が身構える大広間に、リストはズカズカと大股で歩いて現われた。
問題のモンスターイブは、螺旋階段の手摺の上を四足歩行で猫の様に、器用に歩いていた。
声を荒げて出て来たリストをジッと見下ろし、くんくんと鼻を利かせた。
………同じフェーラの臭いがするリストは、一番狙われやすい。
案の定、イブの獲物はリストに絞られたらしい。
舌なめずりをし、唾液が絡み付いたテラテラと光る牙をむき出しにして奇声を上げた。


