「イブ様!!扉は開けるもので、蹴るものではありませんぞ!!どうなされたのです!とにかくその涎をお拭きになって下さいな。誰か!ハンカチを!」
「引っ掻いてはなりません!!爪が伸びて痒いのですか?誰か!爪切りとやすりを!」
「イ―ブ―様あああぁ!!ほら!俺、逃げませんから!!逃げますけど逃げませんから!!また一階に戻って鬼ごっこしましょう!!だからそれ以上はあああぁ――!!」
せっせと、ハンカチと爪切りセットを用意させる執務官達。
もう止めて!もう止めて―!と泣いて懇願する兵士達。
そして、仕事を邪魔する馬鹿イブ。
………何が起きているのか、分からない。分からないという事は、こちらには何の情報も無い。無いという事は……………………無断行動。
兵士達の慌て様や泣き叫ぶ台詞の意味から汲んでも、多分、事態はたった今生じた訳では無いだろう。
………誰かさんに言いたい事はいっぱいあるけれど、とにかく今はこの扉の向こうの馬鹿をどうにかする必要がある。
第四波がぶつけられ、そろそろ限界らしい扉は数ミリ歪んだ。
ダリルは何か行動に移す訳でも無く、ただジッと……扉を見据えたまま座っていた。
扉の外側では、大臣や執務官の野次馬達と兵士等が囲む中で、イブは鼻息荒く、正面の扉に体当たりするべく身構えた。
多分次の一撃で、扉は完全に壊れる。
………終わりだ。色々と終わりだ。
もうこの際イブの前に飛び込んで絶命してみようか…。
追い詰められた兵士達の目の前で、イブは扉に向かって突貫した。


