亡國の孤城 『心の色』(外伝)



(………?)

(………何だ…?どうした…?)


撒き散らしていた殺気は嘘の様に消え失せ、イブは真上を見上げながら何故かぼんやりとしている。

………つられて兵士達も天井を見上げるが、長い螺旋階段以外特に何も無い。

イブはくんくんと鼻を利かせ、何かを嗅ぎ取ったのか尾をピンと立て……………………………床を、思い切り、蹴った。







それは、ただのジャンプじゃなかった。








………スーパージャンプだ。






たった一度だけ、勢いも付けずに跳躍したイブの身体は物凄い速さで二階、三階…と上がっていき……………………四階の壁に、ペタリと張り付いた。



「ええええええ―!?」

そんな馬鹿な!!

何十メートル跳んだんだ!?

呆気にとられる兵士達を傍目に、イブは壁から壁へ伝って難無く四階の廊下に跳び移った。


………階段に設置した柵は、役割を果たす事無く終わった。

イブはそのまま四階の廊下を走り、鼻を利かせながら奥へと消えていく。




「……………………………あっ…………ちょっと待て!………四階のあっちは…………あっちの方には………………!?」

我に返った兵士は、震える声で言った。























「リ、リスト様!!まずい事になりましたぁ!!」

「何だ?怪我人か?」

「それが………!?」

多量の冷や汗を流し、駆け付けてきた兵士は真っ青な顔で述べた。










「………イブ様、バリケードを突破し四階へ進行!!…………………ダ……ダ…………ダリル様の執務室へ!!」


「…何いいいいぃぃぃぃ―!?」