亡國の孤城 『心の色』(外伝)

「おおっ!陛下のトゥラだ!」

「何やっても懐かないトゥラだ!!」

「どういう風の吹き回しだ!!」



ローアンと一部の人間にしか懐いていないトゥラ。

何処かクールで冷めた目で人間を見てくるトゥラは、普段何処にいるのか分からない一匹狼みたいな奴だ。

そのトゥラが、イブと対峙している。

………やっぱり冷めた目でイブを見ながら。



「……あれ?ルアは?」

黒のトゥラとくれば、白のルアだろう。そう言えば見ていない気がするが…。

「………………調理場の隅で、見た。………震えてた…」

「………」







昔、ルアはイブに「美味しそう」と言われてから……どうも彼女が苦手らしい。しかも今のイブはモンスターイブだ。
………怖がるのも当然だろう。だがしかし、格の高い聖獣がそれでいいのか。トゥラなんか欠伸なんぞしているのに…。








忌々しい、とでも言う様に牙をむき出しにして威嚇し続けるイブ。
対し、トゥラは相変わらずの目付きの悪さで、イブから顔を背け、「なんだその醜態は。ふん、小娘にはお似合いだな」と、まるで言っているかの様に鼻で笑っていた。





獣対獣。

こんな組み合わせの戦いなんて、きっと誰一人見た事が無いだろう。

一体………どんな戦場と化してしまうのか…!





両者を遠巻きに囲む兵士達は、固唾をのんで見守っていた。

















「シャアア―……。……………………………………ッ……」










………不意に、イブは牙を引っ込めた。

そして何故か、螺旋階段を三つの目でジッと見上げた。