亡國の孤城 『心の色』(外伝)

王という高貴な身でありながら、こうやってローアンは少ないお供と共にちょくちょく首都に訪れたり、再興途中の街々に実地検分しにくるのだ。


城に籠りきりの王ではなく、直接国民と触れ合い、問題を解決していく今までにない王様。

絶対の信頼を築けた所以は、その行動力と強い意志と、彼女の人柄にある。






悲劇か喜劇か分からないが、新しい物語が生まれる劇場を前にしながら、その幕開けを今か今かと待っていたローアン。





………が、彼女は不意に、あちらこちらを見やった。
隣りの座席に座って本を読んでいたルウナは、そんな母の様子に気付き、可愛らしく首を傾げて覗き込んで来た。

「……母上ぇ―?……お母様ぁ―?………何か見つけたの…?……ルウナにも教えてくだつぁ―い!」

「………ん―?……何でも無いよ。………………ただ………なんか…」












………悲鳴が…聞こえた気が。













「あ!母上ぇ―!劇が始まるみちゃいです!」

「………ああ…本当ね―」
















………何故だか、早急に帰らねばならない気がしたが、はしゃぐルウナを見ているとそんな気もあっという間に失せてしまい、多忙な日々の中で得た久々の親子の時間を、満喫する事にした。






………王である自分が不在というのは、政においてでも何でも、周りは苦労するかもしれないが………まぁ、ちょっとくらい……苦労すればいいさ。















ちょっとどころではない事に、気付く筈も無いローアンだった。