「………『狂騒期』の標的はフェーラに関わらず、人間を襲う時もある。……特に、十代から二十代位が標準。この『狂騒期』では標準に適った雄のみを追い回すため、他に害は無い………」
「どっちにしろ食われるんですね!!俺ら殺されるんですね!!」
「ああああああ!!死にたくない!!死にたくないよ俺!!」
「三分の二って出血多量で間違いなく死んでるよ!!」
キャアアアア―…と、絶望の前で再び喚き出した兵士達。
扉に寄り掛かっていたアレクセイは独り、欠伸を噛み殺しながら傍観していた。自分は老いぼれですから…とアレクセイ、我関せず。
「………『狂騒期』の期間は個人差があるが、最短で半日、最長で一週間。しかし、長引けば長引く程極めて危険。早い時期に…交………尾、をするか、動物の精神状態を落ち着かせる効果のある万年草……『カナリア』の花の匂いを嗅がせる事で、『狂騒期』は鎮まる………」
「……何ですか『カナリア』の花って!?」
聞いた事も無い名称の、希望の花。
死ぬか花かと言われれば勿論花を選ぶが………そんな花、何処にあるのか…。
「………………火山地帯……もしくは渓谷沿いに生えている事が多い。………しかし……近年乱伐により、見つける事は極めて困難……」
「誰だ『カナリア』乱伐してやがる輩は!?許すまじ!!死んだら祟ってやる!!」
もし今後生きていたら、乱伐の取締を厳しくしよう。そう心に誓った部下達。
どうしようも無く泣き崩れる彼等を眺めながら…アレクセイは顎に手を添えて考えに耽った。
………『カナリア』の花。………物凄く、よく知っている様な…いない様な。


