亡國の孤城 『心の色』(外伝)


「………うるせぇな。読めばいいんだろ、読めば。………えーと………雄と雌の生態について。………特に雌は、その成長段階において極めて変化が多い。……生まれた時から既に、人間で言えば10歳前後の身体を持ち、12歳から14歳辺りになると、成人女性並の身体に急激に変化する。変化後の殺傷能力、魔力、攻撃性は幼少期に比べ倍以上に増加する。………この頃の雌は、必ず一度、『狂騒期』という生理的現象が……起こる………」

「………こ、これじゃないですか!?………絶対これですよ!!」

まさしくこれだ!と声を上げる兵士達を無視し、リストは再度読み始めた。

「………『狂騒期』になると…雌は、急激な体温上昇、激しい倦怠感、心拍数増加……といった、風邪に似た症状が出始める。この兆候が出た後………判断力が劣れ、一気に攻撃性が増す。赤い瞳が黄金色に変化するのが特長。……熱に浮かされた様に朦朧とし、狂った様に咆哮する。これが約一日続く。………………この『狂騒期』という生理的現象は、いわゆる…………………………………………………」














そこまで読み上げたリストの表情が、強張った。




次の行に続く一文を……声に出せないでいた。




「………リスト様?」

「……どうしたんですか?……何て書いてあるんですか?………いわゆる…?」

「暗くて見えませんよ…!………続けて下さいよ…」





不安に駆られ、懇願してくる部下を傍目に、リストは物凄く言い辛そうに………口を開いた。






















「―――………いわゆる…………………………………発情期…である…」