そんなアレクセイに猪突猛進の勢いで向かって来たイブは………ぶつかる、という寸前、不意に身体を捻り、アレクセイの脇を通り過ぎて行った。
アレクセイに見向きもせず、イブは走り去る。
……柱の後ろに隠れていた兵士を見つけ、唸りながら飛び掛かって行く。
兵士は無言の悲鳴を上げ、俊敏な動きで避けながら、大広間を物凄い速さで横断して行った。
………その後を追うイブ。
………奇妙な追い掛けっこをぼんやりと眺め、アレクセイはハタキをベルトに差し込んだ。
……一つ、今の一瞬で、分かった事があった。
この広間には、兵士や自分の他にも……せっせと働く召使や大臣等がウロウロしているにも関わらず………イブは、兵士しか見ていなかった。
一瞬、彼女の目は自分にも向けられたが、彼女の興味からはすぐに外れた様だった。
「………何なのでしょうかね……」
顎に手を添えて首を傾げるアレクセイ。
彼女の標的が兵士のみならば、兵士達には悪いが特に心配する事は無いだろう。
………だが、城内が少しずつ……彼女の行動により破壊されている気がする。
これは何とかせねば!…兵士達には悪いが。
……しばし、色々と考えた末、アレクセイはのんびりと螺旋階段を上がって行った。
「―――ギャアア―!!」
最奥の資料室の扉を開け放った途端、暗い室内から悲鳴が響き渡った。
……リストは舌打ちした。
「馬鹿野郎!俺だ、俺!!モンスターと勘違いすんな!」


