「あら、イブ様。お早う御座います。今朝は早いのですね~」
………と、四階から……愛想の良い召使がイブを見つけ、愛想良く、元気良く、はつらつと、声を掛けてきた。
ビクン、と一瞬震える、イブ。
「朝食はもう用意しておりますので。冷めない内に召し上がって下さいね~」
召使はニコニコとしながらベッドシーツの山を抱え直し、ルンルンと別室に入って行った。
………。
急に、動かなくなったイブ。
……全員が、ごくり、と息を呑んだ。
……直後。
イブは突然その場で跳躍し、勢いよく大広間に降り立った。
着地地点はリストの目の前。
怪訝な表情で見下ろすリストを、イブは首を傾げてジロジロと眺め、くんくんと臭いだし…………………………………れろん、と舌なめずりをして…。
「―――シャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
脱兎の如く。
風の様に。
そう。俺は風。
何物にも縛られない、追い付かれない、風。
風。風…風、風、風風風風風風風風風風。
「ギャアアアアアアアアアアア!?!?」
全員、四方八方に散った。死に物狂いで。


