亡國の孤城 『心の色』(外伝)





全員が例え様のない緊張感に苛まれ、冷や汗をかきはじめた。



………途端、突っ伏して泣いていた師団長はスッと立ち上がり、震える声で再び絶叫した。















「―――皆…皆……皆!!逃げるんだ!!可能な限り遠くへ!!安全な場所へ!!扉はなんとか閉めてきたが、もう持ちそうにない!!あの扉は!もう!持たないんだ!!生きるんだ皆ああああ!!」



















………何の映画のワンシーンだろう。



役者顔負けの演技……いや、本気で叫ぶ師団長は、やはり喚きながらほうほうの体で兵士達を掻き分けていき、大広間から更に奥の方へ走り去っていった。












………………。















変な静寂が流れる。

















師団長を見送った後、全員、何とも言えないこの状況に首を傾げた。





「……………………………リスト様、あの、何かご命令を……」


何かしてないと落ち着かないんです、と困惑に満ちた幾つもの瞳が、リストに向けられる。





………何か…って……。






「…………全く意味が分からないな。………とにかくあの馬鹿が……何だ?……何かおかしいとか言ってたな…。………起こしに行くしかないだろ。じゃないと、何も始まら…」



























―――…ふと、リストは何気無く三階に視線を向けた。



問題のイブがいる三階。










その三階の、天井。














………………渦中の人物が、そこに、いた。









四本脚で、天井を這う様に歩く、彼女を。