亡國の孤城 『心の色』(外伝)



昨夜、執務官長のダリルに呼び出されたリスト。


イブと同様、本の二年前まで敵同士だったが、今では同志である二人。

…が、お互い最初の印象があまり良くなかった事もあるし、はっきり言って馬が合わないためか………………仲は決して、良くない。

特にリストはというと、この何事にも無関心で他人の痛みなんか知ったこっちゃない、舐めて治せという様な冷めた人格のダリルが………少々、苦手だ。




同年齢とは思えない。奴を見ていると、自分の精神年齢がやけに低く感じるのは気のせいだろうか。




あいつ、十歳くらいさば読んでないだろうか。






そんなこんなで何の用なのかも知らされず、とにかく重い足取りで赴いたリストに…………部屋に入るや否や、泣く子も黙る無感情なマシンガントークがリストを襲った。







「ちょっと来てって言ってから十分と二秒経ってるけど、総団長補佐兼特務師団長リスト殿、あんたの『ちょっと』はこんなにかかるわけ?この十分で何が出来ると思う?想像してご覧よ、ほら。例えば時間との勝負である料理においては、三分クッキングのメニューなら約三品は既に出来上がっているし、残りの数十秒でちょっとしたデザート、ドリンク、手作りの飾り付けなんかも可能だ。お子様ランチの旗なんか何十本刺せるだろうね?調理場のコックや召使は天才だよ。他にも、何処かで偉大なる科学者が何かしらの法則や定理を見つけたかもしれない。新たな生命が生まれたかもしれない。蛙の卵とか。春先だし。この十分にあらゆる可能性が秘められている。その十分をあんたは歩いて来ただけだ。無駄に、無駄にね。実に勿体ない。コック以下だよ、蛙以下だ。卵以下だ。何か言う事は?」