「―――何騒いでいるんだお前等!!整列しろ!!整列!!」
わいわいがやがやと騒がしい大広間に、少々苛立った罵声が響き渡った。
罵声は螺旋階段の上から。
全兵士が一斉に視線を注いだ先には………………総団長補佐兼特務師団長の、リストの姿。
……15歳にしてはやや大人びた容姿と雰囲気を醸し出す青年。
国家騎士団の幹部の中でも長い経験とスキルを持ち、熱血……否、正義感が強く、風紀には特にうるさい彼………………だったが……………………階段を降りて来る彼は威勢のいい声量とは裏腹に、酷くげんなりとしていた。
……おい…そこ、取っ組み合いをするな、腕相撲するな、トランプを配り始めるな、今日のスケジュールを組み始めるな、と逐一注意していくが、いつもの迫力が無い。
短い黒髪はろくに梳かれておらず、切れ長の目は瞬きを繰り返す一方で、何だか眠そうだ。
………どうした事か。
弱り切ったリストを見兼ねた兵士等は、休暇の喜びをひとまず置いておき、不安そうに彼の元に集まって来た。
その中から第1師団長が前に出て、リストの前に歩み寄った。
「………如何されましたかリスト様……お顔の色が………」
「………………執務管長だよ」
「………は?」
ポツリと呟かれた彼の言葉に怪訝な表情を浮かべる。
リストは眠そうに目を擦りながら、眉間のしわを深くしていく。
「…………………冷酷サディストの、執務管長の…………ダリルの野郎だよ…!………ったく………仕事押し付けやがって……!」


