整列する兵士の列を、螺旋階段のあちこちから、召使や執務官、大臣までもが、度々足を止めては物珍しそうに眺めていた。
城内にこんなにたくさんの兵士がいるなど滅多に無い。
全部で百人…二百人程いるが、これは全兵士の半分にも満たない数だ。
今ここにいるのは、国家騎士団の上級兵士のみである。
因みに騎士団の位は、基本、実力で決まる。
そんな兵士らが集う大広間。
その前に、兵士達の目線の先には………………ピシッと姿勢を正し、後ろ手に組んだ白髪混じりの老紳士が、真剣な表情で全員を見渡していた。
「………皆存じているとは思うが、本日は、創造神アレスが世界を造り出したと言われている『神明の日』である。………命に感謝し、生ある事に感謝し、全てのものに感謝する日です。例年通り首都では盛大な祭りが行われる日………そして例年通り、我等騎士団は剣を鞘に納め、暇をとらせて頂く日でもある」
たくさんの視線を受けながら、アレクセイは淡々と述べていった。
一言一句聞き漏らすまいと、ピクリとも動かず集中する兵士等のその姿勢は大したもの。
欠伸を噛み殺す者など、一人としていなかった。
「………よって、本日の日付が変わるまで、充分に疲れを癒し、明日の訓練に取り組む様に。………以上、陛下と総団長からの言伝に御座います。……この後は、リストとイブに任せます故、諸君等はそれまで待機しておく様に」


