純白の雪は、厚く、厚く積もり、この緑の大国フェンネルを白く塗りつぶした。
どこもかしこも白、白、白。
毎日窓の向こうに広がるその景色を、一体何度見ただろうか。
数え切れない。最初の内は数えていたけれど、飽きを覚えた意識が数えさせる事を止めてしまった。
だから、何度目かもう覚えていない。
そんな下らない事をしていると、いつの間にか………真っ白なキャンパス同然の景色に、点々と、青々とした緑の頭が覗く様になってきた。
季節は移り行く。
冬が来れば、必ず春もやって来る。
暖かい陽気に包まれた春は、その生温さ故に平和ボケしている様な感覚さえ覚える。
………が、春が運んで来るのは、何も良い事ばかりではない。
近頃、城付近で出没する様になった影の存在だとか、それらに襲われた街の被害状況だとか、貧困化故の問題だとか………城で飛び交う話は物騒な情報ばかりで、平和ボケなんか、まず出来ない。
ピリピリとした空気が常となりつつある城内。
それは勿論大臣や召使、そしてリネット等にまで伝わってきた。
世の中が、混乱してきている。
狂い出している。
いや、もう………随分前から、この歯車の狂いは始まっている。
………平和を望んでいるのに。
…生きにくい世の中だ。
毎日毎日、沢山の悪い報せが怒濤の勢いで流れて行く。
悪い報せが。


