亡國の孤城 『心の色』(外伝)









ありのまま。



殻も無い、何も無い、偽りの無い………素直な感情。


下らないプライドだとか、威厳だとかの全てを放り投げて…ありのままを見せてくれている。





………どうしてかしら。



………どうして貴方は……そんなに一生懸命になって、伝えようとしてくれるのかしら。


私なんかに。





………どうしてそんなに無防備なのかしら。

………………調子が…狂うじゃない。











目の前の彼が、自分に何を伝えようとしているのかぐらい、そこは女故に……分かる。




分かっているけれど………信じられなかった。





彼が……私を…という事実が。










………ピクリとも変化しない無表情で、リネットは心拍数が上がり続けるアベルを、じっと黙って見詰めたまま…微動だにしなかった。



だがその眼光は………切れ味の良いナイフの様な鋭さは…無かった。





「―――……だから…………つまり……………………………その……………俺は………俺はな…………………………ああっ…クソッ!!…………何とか言えよお前!!」

「…何とか、と言われましてもねぇ」





恥ずかしさのあまり、とうとう何も言えなくなったらしいアベルは、理不尽にも何故かリネットを指差して怒鳴ってきた。


…が、リネットはしらっと済まし顔で視線を外す。



………独り、真っ赤になりながらアベルは両拳を強く握り、俯いたまま、奥歯を噛み締めた。








「―――………言わねぇと……いけないのかよ…………………クソッ………」