狂わされっ放しの……訳が分からなくなる……。
「………嫌な人生ね…」
………ランプの仄暗い明かりを見詰めながら、リネットは呟いた。
いつ死んでも、おかしくない。
いつ死んでも、誰も不思議に思わない。
いつ死んでも、大丈夫。
………準備なら、生まれた時から出来ている。
そんな曖昧な存在でしかないなら、いっその事………消えてしまいたい。
死んでしまいたい。
この世の中を見渡したって、歩いたって………全部、意味が無くなるのだ。
…余命宣告など、聞き飽きた。
もう何も聞かない。
誰の声も聞かない。
いずれ消えてしまう名前なんか、呼ばないでくれ。
目を瞑っていよう。
真っ暗な中に、死神がいつもいるあの中に、沈んでいよう。
迎えに来る必要は無い。
俺自らが、そっちに行くから。
もう、疲れているんだ。
「………………そうなると、自分を囲むもの全てが………煩わしいものにしか見えないのでしょうね…。………どんな言葉も、アベル様には………届かない様です」
「………」
ブラシで後ろ髪を梳かれ、やや後ろに引っ張られるリネット。
………ランプの明かりから、視線を外せない。
揺らめく小さな炎は儚く、周りを覆うあの薄い硝子が無ければ、あっという間に消えて無くなってしまうだろう。
あっという間に。


